1.弾性係数の測定
単位断面積当たりに掛る荷重(応力)と単位長さ当たりの変形 (ひずみ)が比例するという「 Hooke の法則」を理解し、ならびに、ひずみ 測定に用いる「ひずみゲージ」の原理および取り扱い法を習得することを目的 としている。
実験は、JIS6号引張試験片に加工された冷間圧延鋼板(自動車の車体用材料として 多用されている)に単軸引張りを負荷し、荷重および軸方向と横方向のひずみ を測定し、弾性係数ならびにポアソン比を求める。
ひずみの測定に使用する「ひずみゲージ」は、電導体に形状変化が生じたとき ひずみと電気抵抗変化率が比例することを原理とするものである。
学生は、ひずみゲージの接着を実際に体験し、その試験片を用いて実験を行う。 右図は試験片を試験機に取り付けた状態である。
測定データはコンピュータを用いて取り込まれ、実験終了後に学生各自の プログラミングによる処理プログラム(最小二乗法)を用いて後処理される。
下図はコンピュータによる実験結果の表示例である。 この測定では、縦弾性係数:E=212 GPa ,ポアソン比:ν=0.34 が得られたことを 示している。
2.引張試験
弾性係数の測定に用いた同じ試験片に引張試験を行い、降伏現象、加工硬化現象、 くびれの発生および破断面などを観察し炭素鋼の破断にいたるまでの挙動を理解する。
炭素鋼のような延性材料に引張試験を行うと、負荷の初期段階は Hooke の法則に したがい荷重と伸びの関係は直線となる。その後、比例関係はくずれるが弾性を 保っている状態が少し存在し、ある荷重になると弾性と塑性が混在する弾塑性状態 となる。この点を降伏点という。とくに標準的な炭素鋼では明瞭な上降伏点と 下降伏点が現れる。
さらに負荷を続けると加工硬化現象により荷重が上昇し、伸びも大きくなる。 この段階では伸びが各部で均一であるため断面積も一様に減少する。
やがて荷重は最大となり、この直後あたりから局部伸びが生じ、外観上は「くびれ」 が発生する。この段階からは荷重の減少が著しくなり破断する。
右図は破断した直後の状態である。「くびれ」が発生し、その一番細いところで 斜めに破断していることが判る。
下図はコンピュータによる引張試験結果の表示例である。
この試験結果は、上で述べた荷重と伸びの関係をよく表しており明瞭な上降伏点が
存在する例である。
代表的な数値は、降伏点応力 280 MPa ,引張強さ 353 MPa ,伸び 58% が
得られたことを示している。